2020年1月22日水曜日

裏門の法語 2

「食べないと死ぬ、食べてても死ぬ」
本念寺裏門の法語、ふたつめは仲野良俊という先生のことばです。

 わたしは何で働かないとならんのか。それは働かないと食べてゆくことができないから。つまりは生きてゆけないから。けれども、そうやって食べていってもやがては死にます。耳ざわりのいい言葉ではありませんが、無視することもできない言葉です。そこにわたしが求めるべきもののヒントがあるのではないですか。財産をつくっても死にます。名声を得ても死にます。子孫を残しても死にます。人間がどんなにこだわっても、わたしが死ぬときには全て手放すものです。だから虚しいなんていうこともありますが、虚しいなんてのは人の思いで生きているからです。ぎゃくに死ぬからこそ生きているときが充実するということがあるのではないですか。終わるからこそ大事にできるということがあるのではないですか。ほんとうに自分をたすけるものを求めなければ、寿命だけ生きて不満のまま死にます。だからほんとうを求めるということが大事です。その一歩目は無視できない問題から始まります。問題があるということが、すくいの縁になります。